ロボットの種類・構造って?技術歴48年のベテラン講師が解説!
ロボットにはどんな種類があるの?
ロボットとは?
はまちゃん: 橋本先生!この間、工業雑誌で工場の自動化特集を見ました。
工場では、ロボットがたくさん働いていると知って驚きました!世の中で、どのようなロボットが活躍しているのか教えてください!!
橋本先生:なるほど。では、今日はロボットについて学んでいこう。
まずは、定義から確認するよ。
■ロボットの定義
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「NEDOロボット白書2014」(2014年3月)では、ロボットは「センサー、知能・制御系、駆動系の3つの要素技術を有する、知能化した機械システム」と定義。
はまちゃん: ロボットにはさまざまな技術が統合されているのですね。
具体的には、どのような種類があるのでしょうか?
「産業用ロボット」と「サービスロボット」
橋本先生:ロボットは「産業用ロボット」と「サービスロボット」の2つに分けることができるよ。 産業の自動化に使うものが「産業用ロボット」、日常生活の支援などに使うものが「サービスロボット」と呼ばれているよ。
■ロボットの分類
はまちゃん: こんなにたくさんの種類があるのですね!この前、雑誌で見た工場内で働くロボットは、「産業用ロボット」に分類されるとわかりました。「産業用ロボット」はどのような作業が得意なのでしょう?
「産業用ロボット」の種類と特長
橋本先生:「産業ロボット」は、それぞれ得意な作業が異なるよ。 作業内容に適した種類のロボットを選ぶ必要があるね。
種類 | 軸数 | 用途 | 特長 | 可動範囲 | スピード | 精度 |
---|---|---|---|---|---|---|
直角座標型ロボット (直交座標型) |
2~4 | 部品 組立 | 単軸直動ユニットを組み合わせたシンプルな機構の産業用ロ ボット。 可動範囲は直線に限られるが、ユニットの目的に合わせて柔 軟に組み合わせることができる。 | - | ○ | ○ |
多関節ロボット (垂直多関節型) |
4~7 | 溶接 塗装 組立 | 現在もっとも活用されている産業用ロボット。 人間の腕のような形状で自由度が高く、回り込む動作ができる。 汎用性が非常に高く、搬送から溶接や塗装、組立まで幅広 い工程に導入されている。 | ○ | - | - |
双腕型 |
2~4 | ハンドリング検査 組立 | 両手で箱を持つなど、ロボットアーム1本では出来ない動きが可能。省スペースで高難度かつ精密な作業ができる。 | ○ (柔軟) |
- | - |
スカラロボット (水平多関節型) |
4 | 電機部品 の挿入 組立など | 水平方向にアームが作動する産業用ロボット。 4軸構成で上下方向の剛性が高く、かつ水平方向にやわらかさを持っている。 電機分野における組立工程(部品の押し込み作業など)に 幅広く採用されている。 | - | ○ | - |
パラレルロボット (パラレルリンク) |
4~6 | 高速 ピック&プ レース | パラレルメカニズム(並列なリンクを介して1点の動きを制御す る方法)を使った産業用ロボット。 可搬重量は少ないが、高速動作が得意。 ベルトコンベアーの上などに取り付けられ、流れてくる製品を高 速でピック&プレースに活用されている。 | - | ○ | ○ |
はまちゃん: 昨年の2019 国際ロボット展で見たロボットがたくさんいます!用途によって、活躍するロボットが違うのですね!ところで、表の中にある、「軸数」とは何ですか︖
橋本先生:いい質問だね。軸数は、ロボットの関節の数を表しているよ。ロボットの動きを決める大事な指標になるんだ。これは、ロボットの構造を知るうえでとても大切な言葉だから、次で解説するよ。
産業用ロボットはどんな構造︖
産業用ロボットの構造は人間と同じ
橋本先生:産業用ロボットはロボットアームで構成され、ジョイントとリンクの組み合わせが基本的な構造になるんだ。人間の体で言えば、肘や肩など自由に曲がる関節部分がジョイント、その間を繋ぐ骨の部分がリンクになるよ。
はまちゃん: 私たちがさまざまな方向に体を動かせるのは、関節のおかげ!産業用ロボットも、軸数(関節)を増やすことで自由に動かせる部分が増えていくのですね。
産業用ロボットは何軸で構成されているの︖
橋本先生:例えば、複雑な動きが可能な垂直多関節ロボットの場合、一般的に6つの関節(6軸、自由度6)で構成されているんだ。人間の場合に置き換えると、以下のようになるよ。
はまちゃん: 体を動かしてみるとわかりやすいですね!
産業用ロボットがどのような機構で動いているのか、もっと知りたいです!
ロボットを動かすにはどのような要素が必要︖
産業用ロボットの要素を解説!
橋本先生:ロボットを構成する要素は大きく分けて3 つあるよ。
1. メカ(構造、機構、駆動部品、センサー保持部など)
2. 電子回路( 駆動回路、センサー回路、マイコン、コンピュータ回路)
3. ソフトウェア( 制御、情報処理、判断等)
今日は、メカ要素について詳しく学んでいこう。
産業用ロボットのメカ要素で特に重要なのは、アクチュエータ(関節)、減速機、センサー、非常用ブレーキ、伝達機構の5つになるよ。
■ロボットの要素
要素 | 目的 | 使われる製品 |
---|---|---|
アクチュエータ | アームを上下・左右移動、回転させるため。ロボットの関節部分に内蔵。 |
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減速機 | ロボットを動かすための力を得るため。モータ単体では力が足りな いため、減速機と組み合わせて大きな力を得る。 |
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センサー | 回転軸の位置や速度を検出するエンコーダ、温度、圧力、トルク、加速度などを必要に応じて検出するため。 |
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非常用ブレーキ | 停電や電源が切れた場合に、ロボットの動きを瞬時に停止するため。 | |
伝達機構 | 減速機の出力を先端部に伝達するため。 |
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はまちゃん: 産業用ロボットの小さな関節( アクチュエータ) の中に、減速機もセンサーもブレーキも内蔵されているなんて驚きました! 1つ1つの要素が小型・軽量化されているからこそ実現するのですね。
産業用ロボットのことをもっと知りたくなりました!
橋本先生 / 三木プーリ株式会社
1972 年三木プーリ株式会社 入社。プロダクトマネージャーとしてマー
ケティング・技術を担当し、国内外問わずに活躍。
さらに、企業のみならず大学や専門機関との共同研究にも従事。
現在は、技術指導・社員教育も担当。