マグネットカップリング・マグネットギアとは?
マグネットカップリング・マグネットギアとは、磁石の吸引、反発を利用して動力伝達を行う「非接触動力伝達装置」のことです。
磁力を利用した「非接触」の動力伝達による様々なメリットがあります。
目次
マグネットカップリング・マグネットギアの「構造と役割」
構造
マグネット製品は基本的にN極とS極を交互に着磁させた「多極」構造になっております。 この構造により異極の「吸引」と同極の「反発」を利用して回転伝達を行います。
役割
マグネットカップリング・マグネットギアの役割としては「回転伝達」「回転を直動運動に変換」といった、従来カップリング・歯車・ボールねじ機構が担っていた同等の機能を非接触で行うことができます。
製品タイプ | 対応軸 | 同等製品 | 役割 |
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突合せ | カップリング | [非接触] 回転伝達 |
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平行 | 平歯車 はすば歯車 |
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直交 | かさ歯車 | ||
直交 | マイタギア | ||
直動機構(平行) | ボールねじ機構 リニアモータ |
[非接触] 回転→ 直線運動変換 |
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直動機構(直交) | ラック& ピニオンギア |
マグネットカップリング・マグネットギアの「種類と特長」
写真 | シリーズ | 同等製品 | 特長 |
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CP | カップリング |
・着脱・芯出しが容易 ・トルクリミッター機能 (過負荷時の脱調) ・隔壁伝達に最適 |
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SCP | カップリング |
・SUSカバーカップリング ・水中での使用 ・医薬品・食品環境での使用 ・着脱・芯出しが容易 ・トルクリミッター機能 (過負荷時の脱調) ・隔壁伝達に最適 |
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PCP | カップリング |
・樹脂カバーカップリング ・酸環境での使用 ・着脱・芯出しが容易 ・トルクリミッター機能 (過負荷時の脱調) ・隔壁伝達に最適 |
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CO | 平歯車
はすば歯車 |
・着脱が容易 ・トルクリミッター機能 (過負荷時の脱調) ・静音、メンテナンス フリー |
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MP/ML | かさ歯車
マイタギア |
・トルク調整が容易 ・組付け時の調整が容易 ・静音、メンテナンスフリー |
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LS | ボールねじ
機構 |
・配線レスな非接触リニア機構 ・無限遠の長尺化が可能 |
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RP | ラック&
ピニオンギア |
・静音 ・メンテナンスフリー ・ロッキングモーション 無し |
マグネットカップリング・マグネットギアの「課題解決事例」
このようなことでお困りの方にマグネット製品が最適です。
1. 隔壁越しで回転を伝達したい(シーリングを無くしたい)
【使用例】無菌装置(空調ファン)
「シーリングしても空気や液体が漏れてしまう・・」「密閉度・真空度を向上させたい!」
そんな方におすすめです!隔壁伝達なら「装置に穴を開けない」ので簡単に解決!
【動画】隔壁伝達(水槽)
2. 部品の取り外し・メンテナンス頻度が多い
【使用例】食品撹拌機
マグネットカップリングなら着脱が容易なので装置の段取り替えやメンテナンスが簡単に!
洗浄が多い食品機械や段取り替えが多い工程の装置におすすめです!
【動画】隔壁伝達(撹拌機)
3. 振動・音を軽減したい
【使用例】搬送装置・コンベア
メカニカルギアで発生する「微細な振動」や「駆動音」も、非接触のマグネットギアなら 解決できます!振動による影響が少ないこと、ギアが摩耗しないことにより、精密機器の 搬送などにおすすめです!
マグネットカップリング・マグネットギアの「よくある質問」
Q1.減磁しますか?
最大で0.1%/年程度、減磁します。
Q2.磁束漏れによる周囲の機器への影響はありますか?
磁石部分から50㎜離れれば、ほとんど影響はありません。
磁場解析のサービスもございますのでご相談ください。
Q3.磁力は使用温度によって変化しますか?
Webサイトに掲載している最大伝達トルクは常温時のデータです。
温度が上昇する事で徐々にトルクダウンします。
高温環境で使用の際はお問合せください。
Q4.組立作業時の留意点はありますか?
組立作業時における留意点は以下となります。
①製品の間に「非磁性体で高剛性かつ摺動性の高いスペーサー」
を挟んでから軸へ固定してください。
※ご使用時にはスペーサーを取り外してください。
②製品同⼠が吸着した場合、⼩型のサイズ帯であればラジアル⽅向へ
⼒を加えることで外すことができますが、⼤型サイズは無理に
引き離そうとせず、弊社へご相談ください。
※ご⾃⾝で作業される場合は怪我に⼗分ご注意の上作業してください。(⾮推奨)
③本製品は磁⼒が強⼒な為、作業者の⾝に着けている精密機器の故障の
原因になることがありますのでご注意ください。
Q5.取り付け時の隙間の広さにより伝達トルクは変化しますか?
伝達トルクはエアギャップ(隙間)が広がれば低下し、狭まれば向上します。 ご設計の際はエアギャップごとの最大トルクをご確認ください。 最大トルク(離脱トルク)を調整可能なので、過負荷保護装置としてもご検討頂けます。
※上記は、CPシリーズの一例です。その他シリーズについては製品ページよりご確認ください。