豊和工業株式会社 特装車両事業部 設計課
豊和工業株式会社
工作機械、空・油圧機器、電子機械の工作機械関連、火器、建材及び清掃車両など、幅広い市場に製品を提供する豊和工業。
1907年に会社を設立し、100年以上の歴史を持つ豊和工業は、時代を超えて活躍している。
道路に転がっているごみなどをかき集め、ごみを車両内にためる機能を持つ路面清掃車を製造しています。ごみをためておくバケットは、車両上部に設置されています。ごみをバケットまで運ぶために、斜めに設置された大きなベルトコンベア(幅1.5m×長さ3m程度)にごみを乗せて移動させ、バケットに入れます。
ベルトコンベアのベルトは、一般的に両端を引っ張り固定し、その位置で回転させる方法が多く使われています。ベルトの材料はゴムのかたまりが代表的であり、路面清掃車にも使われています。ベルト内部には伸び防止のためにワイヤーが入っていますが、常に引っ張られており、日々違う環境の路面を走るためあらゆる振動を受けます。
結果、ベルトが緩んでしまうため、定期的にベルトの張りをメンテナンスしています。
メンテナンス時には、コンベア周辺に使用されている複数のナットも、緩めたり締め付けたりします。部品点数が多いためサイズを統一して、同じ人が同じ工具を使用することで効率をよくメンテナンスを行っています。
豊和工業の路面清掃車
ブラシ式路面清掃車 HF80H形
ベルトコンベアに取り付けられているナットは、動力としては小さいサイズで十分です。ですが、メンテナンス性をよくするために部品のサイズを統一していたため、大きいサイズに統一していました。
ですが、通常よりナットが大きいと必要以上に締めこんでしまい、ベルトが切れる・ベアリングが損傷する、シャフトが曲がったり折れたりするなど周辺機器の破損によるトラブルを抱えていました。
ベルトのテンション設定には、たわみ量の基準値を設けていますが、実際現場では基準値を守って作業することは難しく、締めこみすぎることが多くありました。
路面清掃車 ベルトコンベア部分のイメージ
ナットの締め込みすぎによる、ベルトのテンション張りすぎを防止するため、ナットの見直しをすることに。そこで、三木プーリの「トルクリミッタ(トルクテンダ/過負荷保護装置)」に出会いました。
トルクリミッタ(トルクテンダ/過負荷保護装置)の過負荷時に入力と出力を切り離して機械を保護する機能とナットの機能が合体した、「ナット型のトルクリミッタ」を、特殊製品として三木プーリに開発してもらうことに。
三木プーリの「トルクリミッタ(トルクテンダ/過負荷保護装置)」をナット型に開発してもらったことで、当初の課題だった、ナットの締め込みすぎによるベルトコンベアの破損問題が解決しただけでなく、誰でも同じ精度でメンテナンスができるようになりました。